⑫【くらやみ祭イラストガイド(仮)制作絵日記】 [お祭り関連]

第12話まんとう.jpg

(その12:「神社の許可は必要ですよ」と言われました、が。)(監修&校正編)

2018年9月~10月
下書きが順次仕上がってくると、今度は内容を監修(校正)して
頂く作業を行いました。
今までお話をお伺いした方の中から数名、町内や学術者の方に
お願いして、全体の内容に間違いがないかどうかを多角的に
確認して頂いては修正を繰り返しました。
しかし、ご神事に関する項目だけは専門の神社の方でないと
わからないものが多く、ここでの交渉は少しだけ時間を要しました。

まず最初に祭儀担当の方にお会いして、企画の説明を聞いて
頂いたのが2017年の年末の事。
その後も質問事項などをご相談させて頂いたのですが、
神社側としては個々人が行っている制作活動に対応するのは
少し難しいらしく「正式に出版社や担当さんが決まれば、ご協力
できるかもしれませんが」と伝えられました。

確かに各々が「こういう作品作りたいな」と思いついてその都度
神社に押しかけたら、対応してもキリがないし大変です。
「確かにそれはそうかも」とその時は納得し、わからない箇所は
そのまま保留にして描き進めました。

それから約8か月後、ようやく「出版社が決まりました。
ご相談に乗って頂けますか」とご連絡する事が出来ました。
が、しかし。今度はお忙しいせいもあってか、メールやお電話が
なかなか担当の方と繋がりません。それでも9月に入った頃、
ようやく連絡がつき校正許可を頂けました。

正直、これ以上ご連絡がつかなかったら締め切りに
間に合わなくなる恐れも出ていたので、少し焦っていました。
苦肉の策として「(卒業した学部は違うけれど)大学の先生に
お願いしてどなたか神道科の方を紹介して頂こうかしら」とまで
思っていました。専門分野に長けている人に見て頂けたら、
作品的にはそれで大丈夫だろうと思ったからです。

しかし一方では、今まで取材で関わってきた方々から
「大國魂神社に許可を頂いた方がいい」と言われていたので
粘り強く交渉していく必要があるかもしれない、とも考えていました。
なので神社から「校正許可」のご連絡を頂いた時は、正直
「良かった」と「間に合いそうだ」と言う両方の気持ちでホッとしました。

肝心の内容に関しても、当初は修正作業が「難航するかも」と言う
懸念がありましたが、思っていたよりもスムーズに折り合いがつきました。
実際に神職の方に見て頂くと、私が勘違いして描いた危ない箇所が
多くある事も判明しました。時間はかかりましたが、それだけの
価値がある作業でありがたかったです。そしてどうにか無事に
「取材協力・大國魂神社と記載しても良いですよ」と言って頂けた頃
季節は10月半ばに差し掛かっていました。

ようやく原稿の下書きが全て整ったので、ここから一気に
清書(ペン入れ)作業が始まります。

(イラストは青年会主催の万燈大会の図。お祭りの華です)

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⑪【くらやみ祭イラストガイド(仮)制作絵日記】 [お祭り関連]

第11話お神輿の図.jpg


その11:「だいわり」ってなんですか?)(ページ構成編)

2018年8月~9月
書籍化が決まると同時に、本の大まかな概要も整ってきました。
サイズやページ数、いつ頃の発売を目指すか、価格はどれぐらいか、
そして内容はカラーかモノクロか…等々。

こうした本の内容を考える際、必要になるのが「台割(だいわり)」です。
これは本のページ構成を整えるために必要な物で、簡単に言うと
どのページにどんな内容が入るか、一目でわかるページ一覧表の
様なものです。今回私も初めて編集者さんからこの「台割」の
使い方を教わりました。

台割表.jpg
(台割表・一例。一部修正してあります)

(ちなみに最初に出版した書籍では、余りにも時間がなかったので
この台割作業は全部編集さん任せでした。とは言え、この作業は
編集さんがやる物なのか、著者がやる物なのか…未だ
よくわかりませんが、きっとケースバイケースなのでしょう)

「ページは4の倍数ごとに印刷するので、それで割り切れる様に
カラーページとモノクロページを組んでみて下さい」とか、そう聞くと
ページの構成ってちょっと難しいようにも感じますが、でもこの
台割表があると、今まで頭の中でモヤモヤしていたイメージを
すっきりと並べ替えて可視化できます。
台割、すごく役に立つ。考えた人はすごいかもしれない。

こうして頭をスッキリ整えて、黙々と下書き作業に進みました。
下書きが終わると、次は内容の監修(校正)作業になるのですが
ここでなかなかスムーズにいかない状況に直面する事になります。
つづく

(イラストはお神輿の説明図。カラーページはやはり華やかです)

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⑩【くらやみ祭イラストガイド(仮)制作絵日記】 [お祭り関連]

第10話新宿道清めの儀.jpg

(その10:書籍化決定…ですよね?)(営業編2)

2018年7月
お祭り当日の取材も無事終わり、下書き&構成作業に
明け暮れていた私の元に、知り合いの編集者N村さんから
連絡が来ました。

「ご用件は何だろう?」と、よくわからないままお会いしてみると
突如N村さんは「年内に自分で新しい出版社を立ち上げようと
考えています」と切り出されました。おお、それは果敢な試み。
ここ数年、不況が嘆かわれている出版界。
しかしN村さんが仰るには、それ故に業界では色々と新しいやり方で
本を作って売ろうと言う試みが行われているらしく、その一つとして
「小さな出版社が独自のルートで販売を展開する」と言う様な形も
あるのだとか。

そしてN村さんは「新しい出版社から、お祭り作品の企画を
書籍化しませんか?」と打診して下さいました。

これは…予想外の展開!
「そうか、この手があったか!」と思わず膝を打つ、かなりレアと言うか
豪快なかじ取りです。作品を気に入って下さっている編集のN村さんが
会社のトップになるという事は、今まで「(既存の出版社で)
社長さんや営業さんを説得するために、販売ルート
(今回の場合は目標1000部)を獲得しないと書籍化されない、
かもしれない」と言う状況が、一気に解消する事を意味します。
私がここで首を縦に振れば、そのまま書籍化決定。

でも既存の出版社から本を出して頂けるなら、安心して
周囲に「書籍化だよ」と言えそうですが、今回はこれから
立ち上がる予定の、まだ名もなき出版社です。
喜びよりも不安の方が大きい。だけど私自身も無名の作家です。
選択の余地はありません。なのでこの申し出に賭けようと思いました。

こうしてこの瞬間、『くらやみ祭イラストガイド(仮)』の書籍化が
決定しましたが、出版や広告の業界は例え相手先がどんなに大手の
企業であっても、作品が印刷されて世の中に出るまでは決して
油断できません。直前で『企画が流れました』とか『掲載予定が
延期になりました』と言う様な悔しい現象は、わりと頻繁に起こります。
なので引き続き、きちんと作品が形になるまでは慎重に描き続けて
行こう…と、気持ちを新たに引き締めました。

それでも…それから数か月後の秋口になって出版社名が決まり、
新会社の登記が無事に済んだ頃になると、少しずつですが不安は
「大丈夫かもしれない」と言う確信に変わってきました。そして今まで
全く先が見えない中で描いていた頃と比べて『来年(2019年)の春を
目処に出版』と言う目標が定まった事で、作業効率的にも精神的にも
少し楽になりました。

ありがとうN村さん。
本が無事に出版されたら、疑ったことをお詫びしよう…。

(イラストは新宿の道清めの儀。総勢100名以上の大行列は圧巻の格好良さです)


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