⑨【くらやみ祭イラストガイド(仮)制作絵日記】 [お祭り関連]

第9話本町お祭り当日の図.jpg

(その9:いざ、お祭り当日。西へ東へ)(取材編4)

2018年5月2日~6日
色々な下調べや取材を経て、いよいよ迎えたお祭り当日。
この時は(前日準備の2日から6日午前中まで)街中を
ひたすら歩き続けていました。なぜかと言うと、制作時に
必要になる「カラーの静止画資料」がほとんどなかったので
自分の目で確かめたり、写真を撮らなくてはいけなかったからです。

しかし「〇日の13時半に、3か所の町内でそれぞれ別の行事が
行われている…!」など、お祭りのスケジュールは意外と
見たい項目が被っていた為、あちこちを早足で移動し続ける事に。
日によっても異なりますが、10時間前後の長時間取材だったので
途中、足がつって歩けなくなる時もありました。しかし
「ここで見逃したら来年まで祭りはない。作品が描けない!」と
テーピングしながら気力で移動を続けました。

そんな鬼気迫る形相で、必死に歩く私を見かけた町内の方々が
「一緒に飲もうよ」と朗らかに声をかけてくれます。

・・・・・。
内心は「先に先に」と気が急いているのですが、反面
「一人で行う取材はいくらでも出来そうだけど、町内の方と
一緒に過ごせる機会はまずないから、このお声掛けは貴重だわ」
と、頭が働きます。そこでお言葉に甘えて、皆さんの輪の中に
入れて頂いたのですが…この時間がものすごく楽しかった。
お酒が入っていたせいかもしれませんが、とにかく明るく朗らかで
素直に楽しい。そこには温かな一体感がありました。

2月の「提灯調べ」の時も感じたけれど、改めて
『お祭りって楽しいものなんだな』と実感しました。
それはほんのわずかな間の出来事でしたが、厳粛なご神事とか
壮麗な神輿渡御などとはまた違う、新たなお祭りの魅力に気付けた
時間だったように思います。お祭り、いいなぁ。楽しくていいなぁ。

しかしどの町内とも平等に接しないと、作品が偏ってしまうため
後は基本的に一人でグルグルと歩き続けました。
他にも行く先々で多くの方に助けて頂いて、どうにか目標に叶う
取材を遂行する事が出来ましたが、それでもこれだけ飛び回っても
全貌を確認する事は難しく「体が3つぐらい欲しいな」と思いながら
お祭りを過ごしていました。

(イラストは文字部分を入力しようと考えているので、原画には一部空白があります)
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⑧【くらやみ祭イラストガイド(仮)制作絵日記】 [お祭り関連]

第8話大祭会議光景図.jpg

(その8:取材と親切と大祭会議、いざお祭り本番へ)(取材編3)

2018年3月~4月。
春先は年末に次いで、再び取材に奔走していました。
当初イメージしていた作品が冊子形態(36ページ)から、
書籍化(150ページ前後)に大幅に枚数が増えたので、
それを埋める為、更なる取材が必要になったからです。

お話を伺う方は相変わらず「友達の輪」形式で、人づてに1人ずつ
繋いで頂いていましたが、どの方もとても親切でした。
例えば「太鼓の叩き方の七・五・三のリズムが良くわからないのですが」
と問うと、実際にご自宅にあった太鼓のバチを持って、汗をかきながら
実演して下さった方や、「実物を見た方が描きやすいだろうから」と
烏帽子や木札を下さった方もいました。

他にも町内や組織等で自費出版した非売品、もしくは市販の物でも
絶版した貴重な資料を貸して頂けたり(時には頂く事もあったり)、
快く半纏を広げて見せて下さったり…と、色々な形でのご協力を
得られました。
中には「今日はかぶらぎさんに会うから」と言って、かぶ柄のネクタイを
してきて下さった方もいました(笑)

また取材場所も様々で、個人宅に伺う事もあれば、町内の集会所だったり
会社の会議室だったり、ご商売の方は店先だったりと、色々でした。

そんな折、3月半ばに開催された大祭会議の様子も運よく
見学する事が叶いました。「お祭りの前には上に立つ方々が、
こうして安全面や必要事項等の確認をきちんとされているんだな」
という事にも、今更ながら気付かされました。本当に多くの方の
水面下の労力によって、お祭りは成り立っていると思います。

そんな下調べを行いつつ、いよいよ5月のお祭りが始まります。
取材したい項目は盛りだくさん。しかもここを逃すともう確認する
機会はないので、真剣&緊張の面持ちで当日を迎えました。

(イラストは大祭会議の図。沢山の方々が一堂に集います)


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⑦【くらやみ祭イラストガイド(仮)制作絵日記】 [お祭り関連]

第7話本町提灯調べの図.jpg

(その7:お祭りに関っている方々はすごいなと気付く。取材編2)

2018年2月
本を1000部売れるルートを確立できたら、書籍化の可能性が
高まる(かも)と言われて以降、せっせと買い取り先の獲得に
努めていましたが、これがなかなか上手く行きません。
「買い取りは出来ないけれど委託販売なら」とか
「販売は出来ないけれど、本が出た時の宣伝なら」とか
そう言う類のご協力は頂けるのですが…。

とりあえず悩んでいても仕方がないので、ある程度作品を
描きためてから「こう言うものを作ろうと思っています」と言う風に
説明しながら動いた方が良いのではないか、と思い至り
引き続き作品制作を行う事にしました。折しも季節は2月。
各所でお祭りに向けての準備が行われる時期になっていました。

ちょうど1月の半ばに、本町の方を取材させて頂いた際
「近々『提灯調べ』と言うものがあるから、良かったら見においで」と
誘って頂いたのを機に、本町上組さんの提灯調べを
見学させて頂きました。そこには町内の方が20~30人ほど
集まって、皆さんで倉庫からお祭りに関する備品を取り出しては、
状態を調べていました。

慣れているベテランの方が指揮を取り、新しく町内に加わった方が
周囲にご挨拶をし、壊れた提灯が発見された時はみんなで
笑いあい…当日は冷たい風の吹く寒い日でしたが、皆さん
何となく朗らかに、団結して作業を行っていました。

そしてそんな様子を目の当たりにして、初めて「お祭りは
人との交流と言うか、温かい血が流れているモノなんだな」と言う
感覚を抱きました。それまでは文献や映像だけでしかお祭りを
捉えていなかったし、取材にしても質問に答えて頂く事が主だった
ので、割と形式的な感じでした。

「そうか。きっとこんな風に、一年を通じて交流や作業を行って
地域でコミュニケーションする中のひとつに、お祭りもある
のかもしれない。決してお祭りだけが突出したイベントではなく、
交流の一環なんじゃないかな」という事に気付きました。

そう考えると、お祭りに参加している人たちはすごいかも。

この「年間通じてのコミュニケーション」を、毎年繰り返していて
自分の代だけではなく、親の代や、その先の祖父の代から
きっと脈々と受け継いでいるのかもしれない。そしてこれだけ
盛大なお祭りを形成して維持していくのは、労力的にも金銭的にも
ものすごく大変な事だろう…と、改めて敬意を表したくなりました。

しかしそうなると、尚更色々親切にして頂きながら作品を明確に
形作れない心苦しさが広がります。そこで取材をさせて頂いた方に
「すみません、作品はちゃんと形(本)に出来るかどうか、実は
まだ良く分からないんです」とお伝えすると、思いもよらない
返事が返ってきました。

「いいんだよ、気にしなくって。
かぶらぎさん的にはそりゃ本が出来た方が良いと思うけど…
俺たちはただ祭りの話が出来たらそれで嬉しいんだから!」と。
・・・・・・!!!そうなんですか!そう言うものなんですか!?
いや、これは私に気を遣わせまいとする優しさなのかもしれない。
(しかしそれにしては、返答がスムーズで早かった。本音かもしれない)

そうか、お祭りに関る方々は大変さとか云々を通り越して
心底お祭りが好きなんだ。そう言うものなんだ?
それにしても、この日の本町の方々との交流は、私に新しい
お祭りの良さを色々と垣間見させてくれました。そして今までは
単にお祭りを説明する様な作品を作ろうと思っていたけれど
もっと町の人々の生き生きとした交流や、楽しさが伝わる様な
作風が本の中にあってもいいかもしれない、例えば漫画風に
コマ割りで描くなど…と、多角的にお祭りの良さを紹介出来るものを
描きたいなと、イメージがますます広がって行きました。


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